おやのことば 2月10日

夕食時に元気がなかった子供の額に手を当ててみると、かなりの高熱になっていました。すぐに休ませて、おさづけを取り次ぎ、翌日、小児科を受診した結果、インフルエンザと分かりました。

小学校の中学年になるのですが、いまだに薬は苦手のようです。処方箋に記載されている錠剤の写真を見て、「これはのめない!」と文句を言っています。

よく見ると、その写真が大きすぎて、制服のボタンほどの大きさになっていました。 「本当は、これくらいだよ」と言って、実際には小さな錠剤を手渡すと、なんとかのみ込んでくれました。

「このやしき、人間始めた真実一つ胸に治めて、この一つ順序」

そのときはみんなで大笑いしましたが、考えてみると、勝手な思い込みで真実の姿を見失うことは、日常的にもよくあります。特に、子供のころから身につけてきた判断の枠組みを離れて、真実に向き合うことは簡単ではないようです。

『稿本天理教教祖伝』には、なかなか先入観や偏見を捨て去ることができない人々に、真実の教えを伝えるために、教祖がご苦心を重ねられた姿を拝することができます。

教祖を通して伝えられた、この世界の真実を基準にして、いまここにある自分と世界を見つめ直す。薬をのみ込んで、安堵の表情を浮かべている子供の顔を見ながら、こうした姿勢の大切さをあらためて感じました。(岡)

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