おやのことば 11月22日

「おまえが悪い」「なんで?」「順番を抜かしたから」「どうして順番を抜かしたらいけないの?」「それは悪いことだから」「『悪い』って何?」

延々と問答が続きます。子供のころ、一時期流行した口げんかの”必勝法”の一つです。とにかく「なんで?」とか「どうして?」と問い続けていると、そのうちに相手が言葉に詰まってくるのです。哲人ソクラテスのように崇高な目的を持った問答ではなく、ただの口げんかですから、不毛な言い合いが続くことになります。

語彙の少ない男の子などは、すぐに問いを遮って”実力行使”に訴えることもありました。

「不足と不足とでは丸まったとは言わん。不足の無いのが真ん丸の理である」

人生には「1+1」のように、誰もが納得できる定まった答えが存在する問いは、決して多くありません。ほとんどの場合は、異なる意見や立場の数だけ”正解”があります。存在しない正解を得るために、不毛な言い合いを続けることよりも、互いに納得するまで話し合い、一つの意思を固めることが大切でしょう。

夫婦や親子の間でも、それぞれの意思が家族全体の意思となるように、自然に話し合える空気が必要です。自分の思いを押しつけるだけではなく、もう少し、妻や子供の意見にも耳を傾けたいと思います。(岡)

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