おやのことば 4月21日

江戸時代に刊行された古典籍を読解する研究会に参加しています。

漢文で書かれた大部(大冊)の木版です。古いテキストには虫食いや汚損が目立つものもありますが、保存状態の良い版本もたくさん残っており、読み進めることが難しいテキストではありません。個人的には、すでに20年以上前に通読して研究に使用してきました。

そのときは、2年ほどかけて一人で読み通したのですが、この研究会では、同じテキストに10年近い年月を費やして、細かい語句の表現や引用の出典などに気を配りながら、こまやかに判読を続けています。自分では簡単に理解したつもりでいた語句について、多彩な分野の専門家から、これまで考えもしなかったような指摘がなされると、古典を読み、理解する難しさと楽しさを同時に感じます。

「存命中諭したる言葉の理、この道伝わって来てこの道違わん」

テキストを読むこと自体は、文字の読み方さえ覚えれば、それほど難しいことではありません。でも残された言葉の意味を読み解く作業は、真摯にテキストに向き合えば向き合うほど大変になります。この大変な作業を楽しめるのは、言葉の表記の底に深い意味が存在する良質なテキストだけです。

これと同じような姿勢で原典にも向き合いたいと思うのですが、読了には一体どれくらいの時間がかかるのでしょうか。(岡)

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