おやのことば 4月17日

先日、録画した自分の講義を、1時間ほど見直す機会がありました。教壇に立つようになった最初のころは、よく自分の授業を録音して、あとで内容を聞き直していました。それでも、ビデオでしっかり撮影された自分の姿を見ながら、自分の話を聞くのは初めての経験です。

中学生のころ、ようやく手に入れたテープレコーダーを使って録音した自分の声を聞いたときは、再生される声に違和感を覚えて、とても自分の声のようには感じられませんでした。

いま目の前に映し出されている自分の姿にも、やはり違和感を覚えます。

それでも今回は、画面に映る自分の姿や声を、それなりに受け入れることができました。

「さあ人が何事言おうとも自分一人の心さい定めるなら」

年齢を重ねることで、理想の自分のイメージと現実の自分の姿の間にあるギャップが、少し埋まってきたのでしょうか。単に、神経がずぶとくなっただけなのかもしれません。

ただ、今回の映像は、20年近くコツコツ研究を積み重ねてきた内容を初めて発表したときのもので、言葉の端々にうれしさがにじみ出ているのがよく分かります。白髪の交じったひげ面に愛おしさを感じるのは、きっとそのせいでしょう。

いつも、どんなときも、自分の姿を素直に認められるような自分へと育てたいものです。(岡)

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