「夢遊桃源図」三たび韓国へ 国立中央博物館特別展

■2009年10月29日

国民の関心高く大盛況

天理図書館所蔵の重文

 日本と韓国を結ぶ国宝級の美術品、三たび海を渡る  。天理図書館(諸井慶一郎館長)が所蔵する重要文化財「夢遊桃源図」が先ごろ、韓国・ソウル特別市の国立中央博物館特別展で一般公開された。 「夢遊桃源図」は1447年作。李氏朝鮮の4代国王・世宗の三男・安平大君が見た桃源郷の夢を、当代の天才画家・安堅が三日間で描き上げたとされる山水画の傑作。現存する最古の朝鮮前期美術作品であり、安堅唯一の真筆として価値が高い。  この作品は1453年、首陽大君(のちの7代国王・世祖)による「癸酉靖難」(王位簒奪事件)以降、所在が不明になっていたが、明治中期には、その存在が日本で確認された。そして昭和初期、当時の「国宝」に指定。その後、さまざまな所有者を経て、1950年ごろ天理図書館に収蔵された。  昭和61(1986)年、平成8(1996)年に韓国で公開され、3度目となる今回は、「韓国博物館開館100周年記念特別展」(9月29日〜11月8日)のメーン展示品の一つとして、9日間の期間限定で一般公開することになった。  特別展で展示された韓国内外の代表的な文化遺産のなかでも「夢遊桃源図」は、韓国の教科書で紹介されている有名な作品とあって国民の関心は高く、韓国メディアもこのニュースを大きく取り上げた。  会期中、9日間で約6万人が来館した。