台風9号の水害地へ 災救隊の出動相次ぐ(9・11〜)

■2009年8月31日

台風9号の接近に伴う豪雨により、9日から11日にかけて西日本を中心に河川の氾濫や土砂崩れが相次いで発生。全国で死者23人、行方不明者3人が出たほか、家屋の倒壊や床上浸水などの甚大な被害に見舞われた。災害救援ひのきしん隊(=災救隊)では、7月に起きた「中国・九州北部豪雨」被災地への出動に続き、今回の豪雨で大きな被害を受けた兵庫県佐用町と岡山県美作市へ、兵庫と岡山の両教区隊がそれぞれ出動。家屋に流れ込んだ泥や災害ごみの搬出・回収作業などに尽力した。(8・26日記)

被害甚大な佐用町で 兵庫教区隊

9日夜から10日にかけて、佐用町町内を流れる千種川や佐用川などの複数個所で相次いで氾濫が起こり、周辺の集落へ水が押し寄せた。一部の地域では、橋や鉄道が流されたり、道路が寸断されたりして、一時孤立した地区もあった。  管内教会で床上浸水6カ所、床下浸水1カ所の被害が出たほか、ある教会では土砂崩れによって周辺道路が寸断された。こうした情報を掴んだ長谷博一・兵庫教区隊長は、すぐさま各支部の隊員に招集をかけ、11、12の両日には、第1次隊として延べ131人が被災教会とその周辺地域へ出動した。  引き続き、町のボランティアセンターから要請を受けた長谷隊長は、16日から18日にかけて第2次隊、19日から21日にかけて第3次隊の出動を決定。同センターと協議した結果、特に被害の大きかった久崎・上月の両地区で、家屋に流れ込んだ汚泥の搬出や、災害ごみの回収作業などを受け持つことになった。  16日朝、各支部から隊員を乗せたマイクロバスや軽トラック、重機を載せたダンプトラックなどが集結。結隊式に続き、班ごとに担当地区を割り振った。隊員たちは軽トラックで路地へ入り込み、散乱したごみを回収。民家の屋内に流れ込んだ泥も手作業で運び出した。  出動人数は奈良教区隊などの応援も合わせ、第2次隊が延べ278人、第3次隊が延べ214人を数えた。

なお、兵庫教区隊は27日から29日にかけて、同町平福地区へ第4次隊を送り、復旧作業に当たる予定。

浸水家屋の復旧に尽力 岡山教区隊

岡山教区隊(赤沢勤隊長)は16日から18日にかけて、豪雨被害の岡山県美作市へ。広島教区隊の応援も含め、3日間で延べ176人が復旧作業に従事した。  美作市でも、9日から10日にかけての1日の降水量が観測史上最多となる232ミリを記録。山家川の氾濫による床上・床下浸水のほか、水道管の破裂で最大2千400世帯が断水に見舞われた。  岡山教区隊は、8日から11日にかけて「中国・九州北部豪雨」被災地の山口県防府市へ出動したばかり。赤沢隊長が「美作市で水害発生」の第一報を聞いたのも、現地で作業中のことだったという。  同じころ、山口県内の被災地へ赴いていた県社会福祉協議会の西村洋己氏が、現地で災救隊の活躍を知り、赤沢隊長に急遽、美作市への出動を要請した。  災救隊が担当したのは、被害が広範にわたった作東町の竹田・土居地区など。床上まで浸水した家屋から、家財道具や汚泥を搬出する作業に取り組んだ。   【関連ニュース】

聖労隊「八八水害」被災地へ 台湾伝道庁(9・12〜)

政府へ義援金も

台湾の「父の日」に当たる8月8日に起きたことから「八八水害」と呼ばれている今回の災害。台湾内政部によると、災害発生から10日余り経った20日現在で、死者141人、行方不明者440人、負傷者45人に上っている。  なかでも、南部の高雄県では、一部の村が土石流によって壊滅的な被害を受け、いまなお軍隊による捜索・救助活動が続けられているさなかであり、被害の全容把握には時間がかかるという。  伝道庁では、災害発生当初から現地の情報収集に努めるとともに、義援金の拠出を決定。11日、現地法人の(財)天理教総会名義で60万元(約172万円)を内政部へ寄託した。  さらに13日には、海外部「国際たすけあいネット」基金から100万円を台北駐大阪経済文化弁事処へ寄託した。  伝道庁が独自に被災地の情報を収集する中で、嘉義県民雄郷に住む教友から「付近の川が氾濫し、1千400戸ある金興村が全戸浸水している」との情報が入った。早速、その教友を通じて羅偉菘村長と連絡を取ったところ、「村の復旧のため、とにかく人手が欲しい」と要請を受け、災救隊の出動を決定。12日、台北などから隊員21人が車とトラックで現地入りした。  被災地では、家屋の2階部分まで水に浸かった跡がくっきりと残っていた。また路上には、土砂にまみれた家財道具が積み上げられ、車や重機が入れない状況だった。  同隊は、村の近くにある江せき(◆)店教会(頼添連会長)と民雄布教所(張月圓所長)を拠点に活動を展開。2日間にわたり、村内の幼稚園などで水浸しになった用具などを搬出するとともに、持参した高水圧ポンプコンプレッサーを駆使して、屋内外までくまなく洗浄した。  さらに、15、16の両日には、一般信者を加えた延べ54人が2度目の出動。少人数に分かれた隊員らは、独居老人宅や人手の足りない民家、寺院、公民館、住居間の溝などで土砂の搬出や内外の清掃に当たった。 ※(◆)は厂に昔