〝有事〟に備え行政と連携強化 災救隊

■2009年6月6日

水害や地震などの〝有事〟に備え、日ごろから訓練を積み重ねている災害救援ひのきしん隊(=災救隊、中田善亮本部長)。被災地における救援活動では、行政との緊密な連携が不可欠であることから、各自治体とのパイプを持つことが求められている。こうしたなか、兵庫県新温泉町で5月29日から31日にかけて行われた災救隊「近畿ブロック訓練」では、自治体からの要請を引き受ける形で活動を展開。一方、福岡教区隊(崎田正一郎隊長)は5月23、24の両日、筑紫野市などで実施された「平成21年度福岡県総合防災訓練」に県の要請を受けて参加。それぞれ地域のニーズに応える活動に取り組み、各行政から高い評価を受けた。

自治体の懸案事項解消に尽力

災救隊近畿ブロック訓練(5・29〜31)

近畿ブロック訓練には、災救隊本部をはじめ奈良、京都、三重、大阪、滋賀、和歌山、兵庫の7教区隊から414人が参加。新温泉町にある「健康公園」を宿営地とし、三つの現場に分かれて実動した。  その一つ、約3キロ離れた第1現場「県立但馬牧場公園」では、ニセアカシアの駆除作業が主な任務となった。  ニセアカシアは北米原産の落葉高木。繁殖力が極めて強く、在来種の生態への悪影響が懸念されている。公園内の里山の東側斜面(約2万3千平方メートル)には、約3千600本のニセアカシアが生い茂る。サクラやモミジなどを枯らすなど、四季折々の景観を損ねる要因となっており、町にとって長年の懸案事項の一つとなっていた。  隊員らは小雨の中、急峻な斜面でも慎重に作業を進め、最終日には駆除を完了させた。  このほか、第2現場・草太山のキャンプ地「草太園地」と、宿営地でもある第3現場「健康公園」でも、枯れ木の伐採や遊歩道の整備、下草刈りなどを実施した。  解隊式では、駆けつけた井戸敏三・兵庫県知事と馬場雅人・新温泉町長が、それぞれ謝辞を述べた。井戸知事は「災救隊の特長は、統率の取れた組織力にあると思う。地域社会の安心・安全を築く基盤となる存在といっても過言ではない。互いにたすけ合う社会を目指し、今後とも災救隊と一層緊密な協力関係を築いていきたい」とコメントした。

県総合防災訓練で活躍

民間団体として重要訓練初担当(5・23〜24)

福岡教区隊は24日、筑紫野市の宝満川上流浄化センターをメーン会場に実施された「平成21年度福岡県総合防災訓練」に参加。自衛隊や消防、警察、医療機関など120の防災関連機関、計1千200人に交じって救援訓練を実施した。  同隊と行政の接点は、同教区が平成11年から毎年開催している「ひのきしんの集い」にある。これは、管内の教友が公園や福祉施設などの公共の場で大規模なひのきしん活動を実施するもの。当初から「集い」の実行委員を務める教区隊長らが窓口となり、会場選定や作業内容などについて行政と折衝を重ねてきた。  平成16年、県庁内に「ボランティア連絡会」が創設された際、県から打診を受けた教区隊も参加団体の一つとして登録。以来、行政の要請により、災害救援や緑化などで実動。3年前からは、連絡会の執行部にも加わった。  この訓練は年1回、県を挙げて行われる大規模な総合防災訓練。災害時を想定した官民の関係機関の連携強化を図るとともに、県民の防災意識の高揚を目的としている。  同隊は過去2度参加し、今回初めて一つの作業区画を任された。「豪雨または地震によって大規模な土砂災害が発生。山間部への道路が寸断され、集落が孤立。その解消のため、山林を開いて集落まで往来可能な歩道の整備が必要」との想定下で、歩道の整備作業などを行った。