「おうた演奏会 京都」(11・9)

■2008年11月17日

おうた19『成人の道』公開録音

教友による合唱・演奏 優しさと感謝の心満つ

教祖120年祭を期して作曲された、おうた19カンタータ『成人の道』(松村さとゑ編、池辺晋一郎作曲)。この大曲を正規録音するための「おうた 演奏会 京都」(主催=天理教音楽研究会、後援=京都教区)が9日、京都市の京都コンサートホールで開催された。およそ1千300人の来場者がホールを埋 め尽くすなか、音楽研究会合唱団187人、同児童合唱団58人、同オーケストラ80人に加え、プロのソリスト4人の総勢329人が出演。東京藝術大学指揮 科講師・田中良和氏の指揮のもと、「おふでさき」に込められた親心を明るく情感込めて歌い上げた。今回録音された『成人の道』を含む3曲は近くCD化、頒 布される予定。 19曲を数えるおうたの中で、これまで5曲が正規録音・CD化(レコード録音を含む)されている。 大曲では、おうた2交響詩『おやさま』(山田耕筰作曲)、おうた9交声曲『元の理』(團伊玖磨作曲)、おうた12交声曲『ひながたの道』(中山もと編、團伊玖磨作曲)が収録されており、今回4曲目のレコーディングとなる。 過去のおうたのレコーディングでは、NHK交響楽団や読売日本交響楽団といったプロのオーケストラが演奏したが、今回初めて”自前のオーケストラ”が担当。ここに、合唱とオーケストラ演奏ともに教友による録音が実現した。 公開録音を前に、田中氏は3度親里を訪れ、演奏指導。うち1回は、10月の秋季大祭前日に開かれた「おうた演奏会」で実際にタクトを振った。 田中氏はNHK交響楽団をはじめ、国内ほぼすべてのプロ・オーケストラを指揮。その卓越した手腕が高く評価されており、今回の公開録音に向けても細かく指導した。 なかでも「お言葉に親しむ」という、おうた本来の目的に沿うように、歌詞をより聴き取りやすい演奏へと仕上げていった。 迎えた演奏会当日。前真柱様も客席で見守られるなか、『成人の道』が披露された。 田中氏のタクトが緩やかに弧を描くと、オーケストラの柔らかな弦の響きが場内に満ちた。 第1章から第4章を通じて、ピアノ(弱音)の部分が優しく繊細に歌い奏でられ、フォルテ(強音)の響きがひときわ迫力を増して伝わってくる。ソリスト (ソプラノ・足立さつき、メゾソプラノ・永井和子、テノール・上原正敏、バリトン・成田博之)をはじめ、合唱、オーケストラが一体となり、情感こもる調べ がホール全体を包み込んだ。 演奏中、耳と目に神経を集中させていた聴衆たち。すべての楽章が終わり、田中氏が静かにタクトを下ろすと、「ブラボー!」の歓声とともに万雷の拍手がステージへ押し寄せた。 アンコールのおうた7『心つくしたものだね』では、前真柱様も加わられた。 演奏終了後、田中氏は「私自身もステージを楽しむことができた。最高の演奏を引き出すのが指揮者の役目だが、その務めを果たせたように思う。演奏者一人ひとりが真摯に取り組んでくれたおかげだ。偉大な作曲家の曲を指揮することができて、光栄に思う」とコメントした。 今回録音を担当した、レコード制作・販売会社(株)カメラータ・トウキョウの高島靖久・録音部長は「初めて天理の演奏を聴かせてもらい、素晴らしい音楽 だと感銘を受けた。それは、出演者一人ひとりが、曲の意味を深く理解したうえで演奏しているからだろう。プロにも引けを取らない”味わい深い演奏”だっ た」と評した。 梶本國彦音楽研究会理事長は「音楽研究会の歴史の中で、合唱、オーケストラ演奏ともに教内の者でおうたのレコーディングができたことは大変感慨深い。一昨年に創立50周年を迎えた中での、一つの成果と言えるのではないか」と語った。

(立教171年11月16日号)