「一れつ会」創立80周年記念式(10・18)

■2008年10月24日

自らを育て鍛え 陽気ぐらしの実践へ

道の子弟5万人の教育に寄与

財団法人「天理教一れつ会」(田中信行理事長)の創立80周年記念式は18日、真柱様ご夫妻、前真柱様ご臨席のもと、天理大学杣之内第1体育館で執り行わ れた。この日は中山正善・二代真柱様のご結婚記念日。いまから80年前の昭和3年同日、二代真柱様が自身のご結婚のお祝い金をもとに創設されたのが、一れ つ会の嚆矢とされる。その趣旨は、布教に励む親たちが、子供の教育について心配することのないよう、親たちに代わって扶育教養を引き受け、生まれ持った徳 分や才能を生かせるようにとの二代真柱様の思いに基づく。翌4年、天理中等学校(夜間課程)の生徒二人が最初の扶育生に採用されて以来、一れつ会では、時 代状況に応じた変遷を経ながら、お道の子弟教育の一翼を担ってきた。この80年間の扶育卒業生は延べ約5万人に上る。当日の記念式には、管内学校の扶育生 や扶育卒業生ら2千271人が参集。席上、真柱様は扶育生らに対し、創設の思いを諄々と諭され、将来、陽気ぐらしの実践に励むとともに、「親神様の思召に ふさわしい人になるよう、自らを育て、鍛えていただきたい」と要望された。

扶育教養を担って80年

一れつ会の歩み

一れつ会の創設者である中山正善・二代真柱様は、昭和3年10月18日、自らのご結婚のお祝い金を全額寄付し、基金とされた。 創立の趣旨は、道の布教師たちが子供の教育に心配することなく布教に専念できるよう、親に代わって子弟の扶育教養を引き受け、その徳分や才能を伸ばそうというもの。 また、冠婚葬祭に伴う虚礼を廃し、その用途金を広く道のうえに役立てようとの二代真柱様の思いもあった。 昭和4年、天理中等学校生二人に対し、最初の扶育を開始。その後、両年祭(教祖50年祭と立教100年祭)活動の際、教会本部から子弟教養問題が打ち出され、”親のひざ元”であるおぢばで道の将来を担う若い人材を育てようとの気運が高まり、扶育志願者が急増した。 これを受けて、管内学校における財政的基盤を確立するとともに、経営の一元化を図ろうと、昭和10年に「財団法人天理教いちれつ会」へと改組。同会は扶育と学校運営を兼ねることとなった。 戦後、新学制の実施に伴い、教内でも教育施設の充実を目指し、扶育財団と学校財団を分けて運営することに。 こうして昭和23年、「財団法人天理教一れつ会」と「財団法人天理語学専門学校」(のちの学校法人天理大学)に分離。一れつ会は、より本来の趣旨に沿う形で運営されるようになった。 昭和28年、創立25周年記念式典の席上、二代真柱様は「この25年の一つの節をもって、第二の段階に達したい」として、「育英」や「留学」扶育にも取り組む意向を示された。 以来、縦の布教要員などの要員扶育制度を整備するとともに、ハワイ、ブラジル、アメリカの各伝道庁に海外子弟を扶育する海外委員会を設置。「一れつ」の会名の示す通り、教内子弟の扶育教養を目的に活動の幅を広げてきた。 年度別の扶育生数は、昭和23年度の財団法人設立時(565人)と比べると、平成20年度は約5倍(2千932人)に。これまでの扶育卒業生は延べ4万8千35人に上る。 現在の基本財産は105億円に上っているが、扶育生の著しい増加や金利の低下により、果実のみによる運営は困難な状況となっており、お供えによる教会本部からの回付金に負う割合が大きい。 平成20年度の総予算額17億1千万円のうち、果実によるものは2億2千万円と1割強に留まる。 創立の趣旨に基づく活動を展開していくためにも、教内の心寄せを軸とする運営が一層望まれる。

(立教171年10月26日号)